頭頸部癌
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症例報告
耳下腺領域の転移が診断契機となった頭皮原発血管肉腫の1例
三橋 敏順佐藤 文彦山元 英崇小野 剛治梅野 博仁
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2023 年 49 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

血管肉腫は脈管の内皮細胞に由来する稀な悪性腫瘍である。今回,耳下腺領域の転移が診断契機となった血管肉腫を経験した。症例は79歳女性。左耳下部腫瘤を主訴に来院した。MRIで左耳下腺内に長径52mm大の境界不明瞭な腫瘤と,右頸部リンパ節の腫大を認め,いずれもFNAで上皮様異型細胞を認めた。当初,左耳下腺癌(cT3N2cM0)と診断し,原発巣に対して重粒子線治療を予定し,左耳下腺生検と右頸部郭清術を施行した。病理検査の結果は血管肉腫であった。術後,頭皮正中部に長径約6cmの紫斑が出現し,皮膚生検の結果も血管肉腫であった。耳下腺領域の病変は耳下腺リンパ節への転移と考えた。肺と肝にも多発転移を認め,最終的に頭皮原発血管肉腫(T2N1M1)と診断した。患者は積極的治療を希望せず,初診日から4ヶ月後に原病死した。耳下腺領域に悪性腫瘍を認めた場合,頭皮や顔面にも悪性腫瘍がある可能性を念頭に置く必要がある。

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© 2023 日本頭頸部癌学会
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