頭頸部癌
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原著
舌全摘を必要とする進行舌癌例に対するECASによる動注併用化学放射線療法
不破 信和野村 美和子伊藤 伸太郎福家 智仁小林 大介高田 彰憲豊増 泰中谷 宏章山田 弘之
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2024 年 50 巻 3 号 p. 233-239

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抄録
進行舌癌の標準治療は手術療法であるが,舌全摘となる場合の機能障害は大きな問題である。そのため有効な非手術療法の開発は急務である。浅側頭動脈からの動注治療では選択できる動脈は1本のみである。進行癌では複数の栄養動脈を持つことが多く,その治療効果は限定的であった。浅側頭動脈から複数動脈に動注が可能であるsheath(external carotid arterial sheath;ECAS)を用いた動注併用放射線治療を舌全摘の適応とされた11例に施行した。頸部リンパ節再発を1例,局所と頸部リンパ節再発を1例に認めた。前者は頸部廓清術で腫瘍は制御されたが,後者は原病死した。残りの9例は無病生存中(経過観察期間中央値:61ヶ月)である。晩期有害事象は認めていない。ECASによる動注併用化学放射線治療は舌全摘の適応となる進行舌癌に有効である。
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© 2024 日本頭頸部癌学会
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