1989 年 15 巻 2 号 p. 119-124
われわれは1980年より人工骨アパタイト多孔体を下顎骨の再建に臨床適応してきた。このうち本稿では最近3年間の本術式による27症例のうち新開発の純チタン製下顎骨再建プレートを用いて施行した下顎骨区域切除後の架橋補填例7症例の経過について検討した。
73歳女性の剖検により再建部下顎骨の骨形成状態を検索し得た症例ではアパタイト多孔体と骨組織が術後2年目で, 完全に癒合し一体化した状態が組織学的に確認された。35歳男性の症例では再建プレートは術後1年10カ月目に除去, アパタイトによる再建下顎骨は正常に機能し, また術後状態の把握に99mTCのシンチ所見は有用であった。これらの検索結果は本術式の有用性を示唆するものと考える。