抄録
甲状腺癌は組織型によって生物学的性格が異るので, 治療法の選択にはこのことを考慮しなければならない。乳頭癌の術後生存率はきわめて良好であるが, 主な進展様式は腺内転移とリンパ節転移である。濾胞癌はリンパ行転移の他に血行転移も併い易く, 悪性リンパ腫は lymph node involvement を起こすこともまれでない。未分化癌は進行がきわめて急速で, 予後不良であるが, 早い時期に治療する機会が得られれば治療は必ずしも不可能ではない。
以上, 甲状腺癌では組織型別特徴を踏まえた治療法が必要である。