1993 年 19 巻 3 号 p. 337-341
四国がんセンターでは, 1983年から原則として男性の下咽頭・頸部食道癌症例では非開胸食道全抜去を行っている。本術式の有用性について臨床病理学的に検討した。症例は下咽頭癌 (男性12例), 頸部食道癌 (男性7例, 女性3例) で, 摘出食道を10%ホルマリンで固定後, ルゴール染色像を参考に5~7mm幅で全割し, HE染色後, 組織学的に異型上皮や多発癌の有無及び分布について検討した。
その結果, 男性の19症例中12例 (63%) の胸腹部食道に多発癌を, 異型上皮は17例 (89%) に認めた。女性には多発癌はもちろん, 異型上皮も認めなかった。
食道抜去の術式は男性の高危険群症例には必要と考える。