1994 年 20 巻 1 号 p. 130-134
現在下咽頭癌症例に対し当科では術前化学・照射療法後に切除術, 即時再建術を組み合わせた集学療法を基本とし治療を行っているが, 手術拒否および全身状態不良例などでは化学・照射療法などの保存的治療に終始する場合がある。これらの保存的療法を行った症例につき, その背景と予後について検討した。最近17年間の間に当科にて治療をした下咽頭癌症例105例の内, 保存的治療を行った症例は40例であった。Stage IおよびIIの症例は4例で, 残りの36例は Stage III以上であった。保存的治療とした理由は, 全身状態不良または根治切除不能が21例, 手術拒否が14例, 根治照射が4例, 治療拒否が1例であった。また予後に関しては Kaplan-Meier 法による5年生存率は17.5%であった。また5年以上非担癌生存した症例が4例であった。