1994 年 20 巻 1 号 p. 32-36
血清ジペプチジルペプチダーゼ (DPP) IVの口腔癌マーカーエンザイムとしての可能性について, 口腔癌モデルとしてジメチルベンツアントラセンで誘発したハムスター頬嚢発癌系を用いて検索した。その結果, 上皮内癌あるいは初期浸潤癌形成期から DPP IV活性が低下しはじめ, 扁平上皮癌形成期には, 正常の1/2以下の酵素活性値となった。また, 本酵素活性値は, 腫瘍切除により上昇し, 再発や転移により再び低下し, 腫瘍死が近づくにつれてさらに低下した。以上の結果より, 血清DPP IV活性は発癌の初期段階より変化する有用な腫瘍マーカーであることが示唆された。