1994 年 20 巻 1 号 p. 99-104
上顎全摘出後の再建は, 豊富な筋体量を有する腹直筋皮弁が死腔充填に適しているが, 筋体萎縮に伴う顔面変形や眼窩内容および再建口蓋の下垂がしばしば著明となる。これらの術後変形を防ぐためには, 骨性支持組織が必要である。
我々は, 眼球を温存する上顎全摘出術を施行した2症例に対し, angular branch を温存した血管柄付き分割肩甲骨皮弁を用い, 眼窩下壁および頬部~顔面口蓋骨の同時骨再建を行い, 良好な顔面形態を得ることができたので, 再建術式を報告する。