抄録
嗅覚を温存したfrontobasal approachを用い4例の頭蓋底病変 (ossifying fibroma, aneurysmal bone cyst, adenocarcinoma, fibrous dysplasia) を手術した。両側前頭開頭の後, 鼻骨を含めた眼窩上縁骨を外し, 篩板周囲を骨切りし, 鼻粘膜を切断して, 嗅粘膜を付けた篩板のブロックを前頭蓋底硬膜と共に頭側に圧排し術野を確保した。硬膜外操作で腫瘍を摘出した後, 頭蓋底欠損は側頭頭頂帽状腱膜弁で修復した。初期の1例で嗅粘膜の温存が悪く嗅覚が傷害されたが, 他の3例では障害は残らなかった。この方法によれば正中部頭蓋底病変に最短距離で到達でき, 術野は広く, 視神経・トルコ鞍・海綿静脈洞などの操作を安全に行うことができる。