抄録
優れた腫瘍親和性薬剤である塩化タリウムを用い, 上咽頭腫瘍において201T1 SPECTを行い, 病巣のviabilityの評価に201T1 SPECTが有用か否か検討した。組織学的に確診の得られた19例の上咽頭腫瘍患者を対象とした。19例中9例においては放射線治療後の経過観察として, 又, 他の10例では放射線治療前の病巣の進展範囲の評価として, 19例に対し計38回の201T1 SPECTを行った。使用したガンマカメラは3検出器回転型 (東芝GCA 9300A) であり, 塩化タリウム111MBq (3mCi) 静注後5分からデータ収集を開始した。経過観察9例中の3例では明らかな局所再発を認め, いずれにおいても再発部位に一致した高度の201T1集積を認めた。再発のない6例ではいずれも異常集積がなかった。治療前の10例においては, 全例病巣に一致し高度の201T1集積を認め, 治療終了後には集積は消失した。201T1 SPECTは上咽頭腫瘍の検出および放射線治療効果の判定さらに局所再発巣の検出に極めて有用である。