抄録
喉摘を施行された喉頭癌40症例 (声門癌28例, 声門上癌12例) の段階的全割大切片標本を用いて, 局所脈管侵襲と頸部リンパ節転移の関係について検討を行った。
1. 局所脈管侵襲は声門癌では64.3% (28例中18例) 声門上癌では75% (12例中9例) にみられた。
2. 頸部リンパ節転移は, 声門癌では35.7% (28例中10例), 声門上癌では66.7% (12例中8例) にみられた。
3. 局所脈管侵襲と頸部リンパ節転移との間には統計学的検定では有意差が認められなかったが, 相関傾向が認められ, 喉頭大切片標本における原発巣の局所脈管侵襲の検索は頸部リンパ節転移の出現を予測する上で有用な検討項目の一つであると考えられた。