抄録
腫瘍細胞の足場非依存性増殖能は腫瘍造成能の良い指標である。しかし頭頸部扁平上皮癌細胞の多くは, アガー・アガロース等の従来用いられてきた半固形培地ではコロニー形成能を持たないことが報告されている。再構成基底膜 (Matrigel) はマウス Engelbreth-Holm-Swarm 肉腫の抽出物でラミニン, 4型コラーゲンのほかエンタクチン, ヘパラン硫酸プロテオグリカンと数種のタンパク分解酵素と成長因子を含む。我々は, 0.5%アガロースを含む半固形培地ではコロニーを形成できなかった高分化頭頸部扁平上皮癌細胞が, 再構成基底膜と液体培地の1:1混合半固形培地においてコロニーを形成することを見い出したので報告する。