抄録
2種類の polymorphic marker を用いて頭頸部扁平上皮癌における9p21領域の loss of heterozygosity (LOH) を検討した。正常DNAを用いた場合どちらかの marker が heterozygote で評価可能であった67例のうち15例 (22%) にLOHが認められた。LOHの有無と臨床的諸因子とを比較すると腫瘍の局在, 病期, T分類, リンパ節転移度などとの相関はなかったが再発例にLOHの頻度が有意に高かった。また4例において replication error (RER) が検出された。
今回の結果から9p21領域の遺伝子欠損が既存の factor とは独立した prognostic factor である可能性が考えられた。また一部の頭頸部癌におけるゲノムの不安定性の癌化への関与が示唆された。