頭頸部腫瘍
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上咽頭癌症例の臨床的検討
徳丸 裕藤井 正人川浦 光弘大野 芳裕今西 順久菅家 稔犬山 征夫神崎 仁
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1997 年 23 巻 1 号 p. 173-178

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抄録
1980年から1994年の間に当科にて一次治療を行った上咽頭癌症例73例を対象に臨床的検討を行なった。病期分類ではIV期が64.4%を占め, III期, IV期を合わせた進行癌症例が86.3%と大部分を占めた。73症例全体の5年生存率, 10年生存率は58.1%, 48.8%であった。単変量解析では女性および40歳以下の症例が有意に良好な予後を示した。組織型では WHO type III, type II, type Iの順に予後が良好であった。TNM分類ではN2, 3症例およびIV期症例の予後が不良であり, 頸部リンパ節転移や病期が予後と相関すると考えられた。Neoadjuvant chemotherapy (NAC) は今回の対象症例73例中32例に施行された。NACの奏効率は68.8%と良好であったが, NAC非施行例と比較し, 生存率の向上は認められなかった。今後一次治療後の補助化学療法の導入を積極的に検討している。
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© 日本頭頸部癌学会
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