頭頸部腫瘍
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温熱による頭頸部癌のCDDP耐性克服に関する研究
大坪 俊雄斎藤 等田中 信之杉本 千鶴藤枝 重治津田 豪太野田 一郎都築 秀明斎藤 武久
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1997 年 23 巻 1 号 p. 24-27

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抄録
頭頸部悪性腫瘍の治療では, その機能と形態の保存上, CDDPを中心とした化学療法に対する期待が大きいが, 初回治療後に出現するCDDP耐性が, 化学療法の障害となっている。我々はヒト上顎癌由来細胞 (IMC-3) とそのCDDP耐性細胞 (IMC-3-DDP) を用いて40℃加温との同時併用効果を検討した。両細胞の40℃感受性は同等であった。40℃加温によって, IMC-3, IMC-3-DDP細胞のCDDP感受性は37℃に比べて, それぞれ1.48, 1.94倍に増強された。また細胞内Pt量は, 耐性細胞において親株の約6割に減少していたが, 40℃加温時のPt量は37℃に比べて, IMC-3で1.4倍, 一方IMC-3-DDP細胞では1.8倍と増加していた。CDDP感受性の40℃加温による増感効果は正感受性細胞より耐性細胞において大きく, またその程度は, 細胞内Pt量の変化を良好に反映していた。
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© 日本頭頸部癌学会
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