頭頸部腫瘍
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舌・口腔底癌に対する高線量率分割組織内照射における治療容積の検討
井上 武宏井上 俊彦山崎 秀哉小泉 雅彦清水谷 公成村山 重行能勢 隆之手島 昭樹古川 惣平田中 英一渕端 孟
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1997 年 23 巻 1 号 p. 19-23

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抄録
高線量率組織内放射で治療した30例の舌癌患者と6例の口腔底癌の患者の Dose volume histogram をPLATOを用いて計算した。全例1回6Gyで治療した。20例の舌癌と6例の口腔底癌の患者は組織内単独で60Gy/10回の治療が行われた。他の12例は20~41Gyの外部照射と42~60Gyの組織内照射が行われた。V100%は1回6Gyの治療領域の容積とした。
舌癌患者では一面刺入, 一平面とチューブ1本追加, 二平面刺入および立体刺入の平均V100%はそれぞれ14cm3, 29cm3, 18cm3および64cm3であり, V200%は3cm3, 8cm3, 3cm3および10cm3であった。口腔底癌のV100%とV200%は10cm3と3cm3であった。
組織内単独治療例では2例の再発は治療容積の小さな症例 (V100%: 9.7cm3, 11.0cm3) で認められた。また潰瘍は容積の大きな症例 (V100%: 25.6cm3, 31.8cm3) に出現した。口腔底癌患者の治療容積は舌癌患者と比べて小さい。今回の6例については潰瘍を認めなかった。
外部照射と高線量率組織内照射の併用を行った舌癌10例では6例が一平面刺入で治療され, 4例が立体刺入であった。一平面刺入ではV100%とV200%は13~19cm3と2.3~4.3cm3であった。この6例では再発および潰瘍を認めていない。立体刺入ではV100%もV200%も共に他の刺入方法と比べて非常に大きい。再発のない症例では潰瘍が出現した。このような大きな腫瘍の症例では副作用なく治療することは難しい。
治療容積は局所制御および副作用の重要な因子である。
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© 日本頭頸部癌学会
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