抄録
我々は, MCDB 153とDMEMを9:1の割合で配合した無蛋白培地で継代培養可能な扁平上皮癌細胞株 (SCCNI) の培養上清より, ヘパリン親和性カラム, 強陰イオン交換カラム, ゲルろ過カラム, 逆相カラムを用いて自己増殖促進因子の分離を試みた結果, 分子量25kDaのヘパリン結合性増殖因子を分離した。この25kDaの蛋白質は, 還元処理により15kDaにシフトすることからホモダイマー構造を有していると考えられた。さらに, ウエスタンブロッティング法で検討した結果, この25kDaの蛋白質は抗ヒトインヒビンβA抗体と反応した。以上の結果より25kDaの蛋白質はアクチビンAであると推察された。また, インヒビンβAのmRNAの発現をRT-PCR法を用いて検討した結果, 強い発現が認められた。本研究によりSCCNI細胞はアクチビンAを産生して培地中に分泌し, 自己の増殖を促進していることが示唆された。