頭頸部腫瘍
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口腔扁平上皮癌細胞株の無蛋白培地培養上清中のヘパリン結合性増殖因子の分離
平沼 勉大倉 正也富永 仰鏡内 肇吉岡 秀郎松矢 篤三
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1997 年 23 巻 1 号 p. 34-38

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抄録
我々は, MCDB 153とDMEMを9:1の割合で配合した無蛋白培地で継代培養可能な扁平上皮癌細胞株 (SCCNI) の培養上清より, ヘパリン親和性カラム, 強陰イオン交換カラム, ゲルろ過カラム, 逆相カラムを用いて自己増殖促進因子の分離を試みた結果, 分子量25kDaのヘパリン結合性増殖因子を分離した。この25kDaの蛋白質は, 還元処理により15kDaにシフトすることからホモダイマー構造を有していると考えられた。さらに, ウエスタンブロッティング法で検討した結果, この25kDaの蛋白質は抗ヒトインヒビンβA抗体と反応した。以上の結果より25kDaの蛋白質はアクチビンAであると推察された。また, インヒビンβAのmRNAの発現をRT-PCR法を用いて検討した結果, 強い発現が認められた。本研究によりSCCNI細胞はアクチビンAを産生して培地中に分泌し, 自己の増殖を促進していることが示唆された。
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© 日本頭頸部癌学会
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