抄録
エンド-β-ガラクトシダーゼ (E-β-G) 処理後の Griffonia simplicifolia agglutinin-II (GSA-II) 染色法を, 甲状腺乳頭癌3例の穿刺吸引による塗抹細胞, および手術によって得られた乳頭癌5例, 濾胞腺腫2例, 腫瘍周囲の正常甲状腺5例のタッチ細胞に適用した。その結果, 乳頭癌8例全例のすべての細胞集塊だけでなく, 2~3個の孤立した細胞のほとんどすべてが本法に染色された。濾胞腺腫2例や正常甲状腺細胞5例では, すべての細胞がE-β-G処理後のGSA-II染色法に反応しなかった。これらの結果は, 既に報告したホルマリン固定パラティン切片の組織診の結果と一致した。
E-β-G処理後のGSA-II染色法を穿刺吸引細胞診に適用することにより, 術前に甲状腺乳頭癌を他の腫瘍と鑑別するのに役立つと思われる。