頭頸部腫瘍
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舌扁平上皮癌における両側頸部郭清術
吉野 邦俊佐藤 武男藤井 隆稲上 憲一長原 昌萬
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1998 年 24 巻 3 号 p. 297-303

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抄録

両側頸部リンパ節転移に対する頸部郭清では, 各側について再分類した N-stage に応じて術式を選択する。我々が行っている術式は, N0, N1には supramohyoid neck dissection を行うが, 舌前方の癌やN1の転移部位や大きさによっては level IVも郭清範囲に人れている。N2a, N2b, N3では modified radical neck dissection またはRNDを原則としている。健側の予防的郭清の適応は, 深部浸潤傾向の強いT3, T4か, 舌前方下面の癌である。郭清の際の注意点は, 舌前方の癌ではとくに肩甲舌骨筋沿いの郭清, 舌骨直上で舌骨舌筋内側の舌静脈沿いリンパ節の取り残しがないようにすることである顎下部は患側では原発巣と一塊切除となるので問題ないが, 健側では顎舌骨筋の上面 (sublingual space) の郭清を注意して行う一内頸静脈は進展度の少ない一側は温存するようにするが, 両側切除がやむを得ない場合は, 少なくとも一側 (可能ならば右側) の静脈再建を行うのが好ましい。

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© 日本頭頸部癌学会
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