1999 年 25 巻 1 号 p. 1-8
当科において過去12年間に治療を行った頭頸部領域原発の悪性リンパ腫一次症例19例についてその治療成績ならびに予後との相関も含めた臨床, 病理学的特徴について検討を行った。平均年齢は50.65歳, 19例中16例は非ホジキンリンパ腫 (NHL) で好発部位は歯肉, 歯槽部であった。病期分類では Stage I症例が19例中11例と最も多く, 6例にB症状を認めた。LSG分類によるNHLの病理組織分類では中悪性度群が大勢を占めた。治療法は Stage I, II症例では放射線治療単独もしくは放射線+化学療法, Stage III, IV症例では化学療法単独療法が施行された。全症例における一次治療に対する局所奏効率は81%, 4年生存率は38.5%であり, 進行期症例の予後は明らかに不良であった。今回の統計よりIPFなどの有用な予後因子に基づいた正確な病期診断ならびに寛解導入後の適切な維持療法の選択を行うことが良好な予後を得るために不可欠であると考えられた。