頭頸部腫瘍
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手術切除が行われた頭頸部がん肺転移症例の検討
佐竹 文介古積 隆宇留間 哲也香取 秀明鵜飼 潤清水 幸夫矢島 靖巳
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1999 年 25 巻 1 号 p. 107-111

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抄録

頭頸部がんの予後不良因子としては, 種々の因子が考えられるが, 遠隔転移の出現は決定的な予後不良因子である。従来は肺転移に対しては主に, 姑息的な放射線治療や化学療法が行われていたが, その結果は惨めであった。群馬県立がんセンター頭頸科で11例の肺転移症例に対して切除手術が行われた。原発巣別では, 中咽頭癌3例, 喉頭癌3例, 甲状腺2例, 上顎洞, 下咽頭, 顎下腺各1例であた。組織型では, 高分化扁平上皮癌6例, 低分化扁平上皮癌2例, 腺様嚢胞癌2例, 乳頭癌1例であった。開胸手術が行われたのは, 6例で最近の5例は胸腔鏡による切除が行われた。胸腔鏡による手術は侵襲も少なく高齢者にも適し, 患者のQOLからも有用な手段と考えられた。手術後最長の生存期間は7年9カ月であった。頭頸部外科医の任務は経過観察中に切除可能な肺転移を診断することと思われた。

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© 日本頭頸部癌学会
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