頭頸部腫瘍
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上咽頭癌の新TNM分類の予後因子としての意義
旧TNM分類との比較
晴山 雅人坂田 耕一玉川 光春大内 敦永倉 久泰志藤 光男斉藤 明男秋葉 英成朝倉 光司氷見 徹夫
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1999 年 25 巻 3 号 p. 438-441

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抄録
1988年1月より1995年9月までに, 放射線治療を施行した29名の上咽頭癌の患者を分析の対象とした。
MRI及びCTを用いて, 第4版のUICC分類に基づいて stage 分類を行うと, 66%の患者がT4に分類された。T1-T3の7名中1名のみがT4では18名中5名が局所再発を起こした。第5版で分類すると, T1-T2の7名中1名のみがT3-T4では18名中5名が局所再発を起こした。しかし, T3とT4では局所再発の頻度に差がみられなかった。第5版では, 咽頭頭底筋膜を越えた浸潤がみられるか否かで, T2aとT2bに分類している。我々の症例でも, 咽頭頭底筋膜浸潤がみられなかった7例全例で局所制御が得られている。しかし, CTでは, 咽頭頭底筋膜浸潤が検出できず, よって第5版のT分類では, MRIが必須である。
第4版のN分類では, N2cまたはN3の15名中6名に遠隔転移が発生したが, N1~N2bでは9名中1名に発生したのみであった。第5版のN分類では, N3の5名中4名に遠隔転移が発生した。
第5版は, そのT分類に, CTやMRIにより検出された腫瘍の深部浸潤を導入しており, 第4版より合理的であり, よりよい予後因子として有望である。
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© 日本頭頸部癌学会
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