頭頸部腫瘍
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下咽頭癌における新TNM分類の問題点
林 隆一海老原 敏斎川 雅久大山 和一郎羽田 達正海老 原充朝陰 孝宏崎浜 教之山崎 光男
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キーワード: TNM分類, 下咽頭癌
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2000 年 26 巻 1 号 p. 145-149

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抄録
1997年UICCによる悪性腫瘍の臨床病期分類 (新分類) が改訂された。新分類への変更状況とその問題点について下咽頭扁平上皮癌229例を対象に検討した。亜部位の改訂により, 1987年UICC分類 (旧分類) にて輪状後部に分類されていた38例中7例が後壁となった。T分類の変更は229例中31例 (13.5%) に要した。旧分類T1, T2症例について下咽頭頸部食道造影による再分類を行った結果, 81例中27例 (34%) は分類不能であり, その理由として下方進展の把握が困難とした症例が11例と最も多かった。N0症例での原発巣治療はT2に占める放射線治療の割合が増加し, 下咽頭部分切除はT3にも適応とされることになった。下咽頭癌は Stage IV症例が多く, 予後の不良なN3, 遠隔転移陽性症例を分離したことは妥当と考えられた。今後は正確な病期分類のため, 下咽頭造影, CTに加えMRIの撮影が必要である。
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© 日本頭頸部癌学会
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