抄録
国立がんセンター頭頸科における1984年から1995年までの口腔底扁平上皮癌90例の治療方法と遠隔成績について検討した。我々の施設では口腔底扁平上皮癌に対して手術を主体とした治療を施行している。全体の88例 (97.8%) に手術が施行されており, 77例 (85.6%) は手術単独による治療であった。5年累積生存率は66.9%, 他癌死と他病死を除いた原病生存率は77.4%と良好な成績であった。Stage 別の累積生存率はI, II, III, IVそれぞれ83.1%, 75.1%, 61.9%, 49.4%で, 原病生存率はI, II, III, IVそれぞれ87.7%, 88.0%, 76.9%, 58.3%であった。頸部リンパ節転移に関してはpNの個数の増加にともない予後が悪くなる傾向があった。近年問題となっている多重癌症例が全体の28例 (31.5%) と高率にみられ, 多重癌により死亡した症例は7例と, 原病死につづき死因の第二位 (21.9%) を占めていた。