頭頸部腫瘍
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Transverse Platysma Myocutaneous Flap による顔面・頸部再建の経験
斎藤 篤志柏 克彦小林 誠一郎
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2000 年 26 巻 1 号 p. 168-172

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抄録
後頸三角より血行を有し, 頸部正中を越え横方向に伸びる様にデザインした広頸筋皮弁, transverse platysma myocutaneous flap について報告する。症例は, 男性3例, 女性2例, 計5例の頬部, 頸部, 口唇の欠損の再建に本筋皮弁を用いた。原因疾患は, 頬部表皮母斑, 耳下腺腫瘍の再発, 頬部有棘細胞癌, 犬咬傷であった。術後経過観察期間は, 1ケ月から1年8ケ月である。皮弁の大きさは, 最大で4.5cm×12cmであり, 縦横比は1:4.3であった。一例は術後の圧迫と浮腫のため部分壊死となり, 一例は犬咬傷で感染したため創離開を生じた。残りの三例は特に合併症もなく, 良好である。
本筋皮弁は, 血行動態には不明な点もあるが, 手術手技が容易であり, かなりの長さの皮弁が得られることから, 顔面・口腔・咽頭領域などへの応用も可能であり, 頭頸部再建に有用な皮弁の一つであると思われた。
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© 日本頭頸部癌学会
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