頭頸部腫瘍
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咬合機能の回復を目指した顎再建
森 良之須佐美 隆史松本 重之高戸 毅波利井 清紀
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2000 年 26 巻 3 号 p. 446-451

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抄録

口腔癌切除後の下顎骨再建には, 近年血管柄付き骨移植が行われるようになり, 審美的に良好な結果が得られるようになっている。しかし, 術後の瘢痕拘縮や咬合のずれ, 顎関節障害のため, 術前の咬合機能を温存することは難しい。そこで我々は, 術後の瘢痕拘縮により口腔内が狭くなった症例の咬合回復に, 骨形成と軟組織拡張を目的とした組織延長法を応用している。また, 骨移植による下顎骨即時再建には, マルチブラケット装置, 床副子による残存歯の咬合維持と, K-wire を用いた三点計測法による関節突起の位置決め法により, 残存骨片の位置保存を図っている。こうした方法は, 口腔内容積の拡大, 骨欠損部の正確な再建, 顎関節機能の温存に有用で, 良好な咬合機能の回復に役立っている。

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© 日本頭頸部癌学会
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