頭頸部腫瘍
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上顎部, 軟口蓋部欠損に対する補綴的機能再建について
下郷 和雄臼井 秀治大岩 伊知郎
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2001 年 27 巻 3 号 p. 699-706

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抄録

上顎腫瘍切除後の歯槽―硬口蓋や軟口蓋部欠損に対する機能的再建には歯科補綴的手法が極めて有用である。
1981年7月から2000年12月の19年6ヶ月の間に著者らは上顎顎欠損465例および軟口蓋欠損159例 (重複あり), 合計481例の経験をした。上顎硬口蓋, 軟口蓋欠損面積のそれぞれに対する大略比率による区分では, 上顎硬口蓋欠損で1/6 14%, 2/6 20%, 3/6 48%, 4/6 12%, 6/6 2%, 軟口蓋欠損で1/4 25%, 2/4 13%, 3/4 2%, 4/4 4%であった。
切除後から義顎装着までの期間は初期の例を除くと平均30日で, この中には術後1週で装用できたものが3例, 術後2週が60例, 3週が92例あり, これらで全体の43%を占めていた。また顎補綴治療開始から装着までの日数は2日が238例, 3日が73例で, これらは全体の86%を占め, ほとんどの例で作製された義顎は装用されており, それによる機能改善は患者に認識されていることから, 歯槽―硬口蓋欠損では切除手術直後には義顎による補填治療が有効で, 二次的に上顎再建手術を行い, 義歯もしくは人工歯根インプラントが適応であろうと考えている。軟口蓋欠損では補綴的機能再建が第一選択であると考えている。

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© 日本頭頸部癌学会
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