2002 年 28 巻 1 号 p. 12-17
当院の1982年から1995年の中咽頭側壁扁平上皮癌83例の治療成績は治療方針の変更により5年原発巣制御率69%, 疾患特異的5年生存率59%と向上した。T1, T2ではサルベージ手術まで含めると良好な原発巣制御が得られた。ただしT3の内向性, 潰瘍型で周辺部位に大きく広がるものは手術治療にても根治困難であった。これらに対しては放射線同時化学療法の導入も必要と考えられた。5年累積粗生存率については49%と依然悪く重複癌の生存率への影響が考えられ, 重複癌への一層の注意が必要であるとともに症例ごとに Quality of life を低下させない治療選択も必要と考えられた。