頭頸部腫瘍
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上咽頭腫瘍における201Tl SPECTの有用性
戸川 貴史油井 信春幡野 和男竹内 洋介林崎 勝武小村 健
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2003 年 29 巻 1 号 p. 173-177

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抄録

上咽頭腫瘍が疑われた54症例に対し, 3検出器回転型ガンマカメラにより201Tl SPECTを行い, 臨床的有用性を評価した。治療前は54例中53例 (上咽頭がん50例, 悪性黒色腫1例, lymphoid hyperplasia 2例) で陽性であった。上咽頭がん50例中48例では治療後の評価が可能であった。治療直後における201Tl SPECTとMRI, CTの効果判定が一致したものは26例 (ともにCR 15例, ともにPR 11例) であった。これに対し, 一致しなかったものは22例であり, これらはすべて201Tl SPECTがCRであったのに対し, MRI, CTはPRであった。さらにこの22例中16例において経過をみていくとその後のMRI, CTでは6~33カ月 (平均13ヶ月) 後に腫瘤影が消失した。再発転移は8例において治療終了9~69ヶ月 (平均24ヶ月) 後に出現したが, 201Tl SPECTでは8例10部位の再発転移巣をすべて陽性にとらえることができた。以上の結果より201Tl SPECTは上咽頭腫瘍の初回診断, 治療効果判定および再発・転移巣診断において極めて有用であることが明らかになった。

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© 日本頭頸部癌学会
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