2022 年 49 巻 1 号 p. 229-233
三叉神経鞘腫ときわめて類似した浸潤型副鼻腔真菌症の1 例を経験した.三叉神経領域の持続する強い痛みを認めた.腫瘤性病変は造影MRI 検査にて明確に描出され,副鼻腔との間の骨欠損はCT 検査にて描出された.副鼻腔の病変はなかったが,手術標本の培養検査が必須となるため,術前の鑑別診断はきわめて重要であると考えられた.術後腫瘤の減圧とともに顔面痛が軽快したことは,ICHD-3 の13.1.1.2.2 分類の占拠性病変による三叉神経痛の診断基準に合致しているが,疼痛の原因が三叉神経の過度な進展に由来していたことを示しているものと考える.