日本頭痛学会誌
Online ISSN : 2436-1577
Print ISSN : 1345-6547
症例
三叉神経近傍の腫瘤による三叉神経痛を生じた,浸潤型蝶形骨洞真菌症の1 例
雄山 博文若林 健一伊藤 真史大塚 崇史松山 知貴福井 隆彦平山 顕吾
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 49 巻 1 号 p. 229-233

詳細
抄録

   三叉神経鞘腫ときわめて類似した浸潤型副鼻腔真菌症の1 例を経験した.三叉神経領域の持続する強い痛みを認めた.腫瘤性病変は造影MRI 検査にて明確に描出され,副鼻腔との間の骨欠損はCT 検査にて描出された.副鼻腔の病変はなかったが,手術標本の培養検査が必須となるため,術前の鑑別診断はきわめて重要であると考えられた.術後腫瘤の減圧とともに顔面痛が軽快したことは,ICHD-3 の13.1.1.2.2 分類の占拠性病変による三叉神経痛の診断基準に合致しているが,疼痛の原因が三叉神経の過度な進展に由来していたことを示しているものと考える.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人日本頭痛学会
前の記事 次の記事
feedback
Top