2024 年 50 巻 4 号 p. 731-734
症例は既往のない42歳男性.男性型脱毛症治療目的にフィナステリドとミノキシジルを約6ヵ月間併用内服後,左側頭部の鈍痛が出現.さらに辻褄の合わない会話も増えたため,精査目的に入院した.入院時,左側頭部痛に加え,感覚性失語と歩行障害を認めた.血液検査でD-dimerが高値であった.頭部CT venographyの所見から,左横静脈洞から左S状静脈洞にかけての脳静脈血栓症と診断した.各種検査も脳血管障害をきたす異常所見は検出されず,フィナステリドとミノキシジルの併用内服に伴う薬剤性の脳静脈血栓症と判断した.若年男性の脳静脈血栓症において,非認可薬を含めた服薬歴を詳細に問診する必要がある.