日本頭痛学会誌
Online ISSN : 2436-1577
Print ISSN : 1345-6547
原著
硬膜下血腫合併脳脊髄液漏出症患者における頭痛緩解の危険性
宮尾 泰慶横田 千里貴島 晴彦
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 52 巻 1 号 p. 97-101

詳細
抄録

 脳脊髄液漏出症では8割以上の患者に低髄液圧による起立性頭痛が認められる.しかし,硬膜下血腫 (SDH) の合併例において,特に治療を行わない場合の自然経過としては,初期の起立性頭痛から一時的に頭痛が軽減する時期 (頭痛緩解期) を経て,寝ても起きても常に存在する頭痛となり,さらにこれを放置した場合に意識障害を呈して緊急処置が必要となることがある.われわれが経験したSDH合併脳脊髄液漏出症患者25例を検討した結果,頭痛緩解を呈した5例のうち4例 (80%) で緊急処置を必要とした.SDH合併脳脊髄液漏出症患者において頭痛緩解は危険性を示すサインであることが示された.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本頭痛学会
前の記事 次の記事
feedback
Top