日本健康開発雑誌
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大豆発酵エキスのアルツハイマー病態に対するin vitroでの評価
冨永 隆生小川 暁郎清水 厚志渡邉 和孝渡邉 和晃
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論文ID: 202142G02

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抄録

背景・目的 アルツハイマー病(AD)は認知症の代表的疾患であり,発症原因の一つに老人斑の主成分であるアミロイド-β(Aβ)の蓄積と活性酸素を伴った神経毒性が考えられている.本稿においてAD発症に関わると考えられるin vitro試験により大豆発酵エキス(NT)の効果について検討した.

方法 大豆摩砕物を納豆菌で発酵させ,エタノール抽出によりNTを製造した.β-セクレターゼ活性,及びAβ凝集は各定量キットにより測定した.PC-12細胞を神経細胞に分化させAβ,又は酸化ストレスによる細胞障害をMTTアッセイにより判定した.アセツルコリンエステラーゼ(AChE)阻害活性はヨウ化アセチルチオコリン基質を用いた発色反応により測定した.PC-12へのNT添加による神経突起伸長作用について検鏡下で観察した.

結果 NTはAβの生成酵素であるβ-セクレターゼを阻害し,Aβの凝集を抑制した.また,神経細胞に分化させたPC-12へのAβ凝集体,又は酸化ストレス負荷による細胞毒性を抑制した.さらにPC-12の神経突起伸長作用,及びアセチルコリンエステラーゼ阻害作用が確認された.

考察 NTによるin vitro 抗アルツハイマー作用はADの予防,治療において有効性を発揮するものと期待される.

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