日本健康開発雑誌
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最新号
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巻頭言
原著論文
  • 龍 由季乃, 田中 晶子, 内山 秀彦, 永澤 巧
    2024 年 45 巻 p. 3-12
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    [早期公開] 公開日: 2023/06/26
    ジャーナル フリー

    背景・目的 認知症高齢患者へのケアにおいて、看護師は様々な精神的・身体的ストレスを抱えている。本研究はケアで多く取り入れられているシャワー浴に着目し、患者にシャワー浴を実施した際の、患者と看護師のシャワー浴前後の気分の変化を調査し、双方に与える効果を明らかにする。

    方法 F病院に入院する認知症高齢患者と看護師を対象とし、認知症患者へ行うシャワー浴時に調査した。シャワー浴実施時、その前後にVisual Analog Scale(VAS)の測定と唾液からオキシトシン値とコルチゾール値を測定した。

    結果 対象者はそれぞれ10名。患者・看護師ともにシャワー浴前後のVAS平均値でシャワー後に有意に気分の上昇が認められた(p=0.01,p=0.02)。患者の生理活性物質はシャワー浴の前後で有意な変化は認められなかった。看護師についてはオキシトシン値では有意な変化を認めなかったものの、コルチゾール値がシャワー浴後に有意に減少した(p=0.02)。

    考察 VASの変化から患者・看護師ともにシャワー浴によって気分が向上したと考えられる。またシャワー浴後に看護師のコルチゾール値が減少したことは、VASの変化と併せて、患者へのシャワー浴の実施が看護師に気分向上とストレスの軽減をもたらす可能性がある。本研究の結果より、ストレスが多いとされる認知症ケアにおいて、シャワー浴は、看護師の精神的負担を軽減し、気分を変化させるより良い看護ケアである可能性が示された。

  • 石澤 太市, 伊藤 要子, 中西 信之, 松本 圭史, 綱川 光男
    2024 年 45 巻 p. 13-19
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    [早期公開] 公開日: 2023/07/20
    ジャーナル フリー

    目的 本研究の目的は、一定条件下での入浴において湯温度、水位、年齢、性別が体温変化に及ぼす影響について検討することである。

    方法 入浴時の湯温度および水位の検討として、健常者男女13名を対象に試験を行った。室温25.0℃、湿度50.0%RH 環境下で馴化した後、浴室温度25.0℃の環境下で湯温度が40℃と42℃のさら湯に、水位が腋窩までと肩が隠れるまでの2種類の条件で15分間の入浴を行った。湯温度と水位の4条件の組み合わせで入浴中の体温を測定した。また、対象者の年代および性別の検討として、20~69歳までの健常者男女58名を対象に試験を行った。室温25.0℃、湿度50.0%RH 環境下で馴化した後、浴室温度25.0℃の環境下で湯温度が40℃のさら湯に肩が隠れるまでの水位で15分間の入浴を行い、入浴中の体温を測定した。

    結果・考察 全ての試験において、入浴時の体温は入浴時間に比例して上昇した。また、入浴時の湯温度、水位、年代、性別は、何れも体温変化に影響を及ぼす因子であった。そこで、一定条件で入浴した際の体温変化を予測する推定式を作製した。推定式の妥当性については、健常者35名を対象とした入浴時の体温測定結果を用いて検証し、実測値と高い相関を示すことを確認した。体温変化の推定式は、入浴実験等の体温予測や入浴時の体温測定ができない場合に活用することができる。なお、入浴時の体温上昇は、被験者の体調および体質や身体組成、季節による温度および湿度等の外部環境や浴室環境、湯の含有成分等の水質により異なるため、これらの影響については今後検討が必要である。

  • 関口 陽一, 早坂 信哉
    2024 年 45 巻 p. 21-31
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    [早期公開] 公開日: 2023/09/21
    ジャーナル フリー

    背景・目的 ウェルネスツーリズム及び環境省が提案する「新・湯治」は、ともに地域資源を活用した体験を通じた人々の健康増進を目指している。本研究は、アンケート調査データをもとに、人々が温泉地で実施した活動に伴う主観的な健康状態の変化を分析したうえで、温泉地における地域資源を活用した取り組みへの示唆を得ることを目的としている。

    方法 環境省が実施している「全国『新・湯治』効果測定調査プロジェクト」により2018年度から2022年度までに得られた18,620件のアンケート調査データのうち、一部設問に無回答だったデータを除く12,315件を対象にカイ二乗検定を用いて入浴以外の活動の有無による主観的な健康状態の変化について群間比較を行い、p<0.05の場合に有意と判断した。

    結果 入浴のみをした人が6,227人で、入浴以外の活動も行った6,088人よりやや多かった。主観的な健康状態は、滞在中に入浴以外の活動も行った人の方が改善傾向にあり、「むくみ」以外の改善者割合は非参加者よりも有意に高かった。「運動」参加者は「食欲」(p=0.036)、「周遊観光・買い物等」参加者は「食欲」(p=0.008)、「学ぶ活動・セミナー」参加者は「食欲」(p=0.047)、「冷え」(p=0.021)、「コリや痛み」(p=0.040)、「むくみ」(p=0.044)の改善者割合が非参加者よりも有意に高かった。

    結論 温泉地で入浴以外の活動も行うことの主観的な健康増進効果が示唆され、ウェルネスツーリズム及び「新・湯治」の目指す方向性を支持する結果となった。

  • 柴田 陽介, 栗田 泰成, 森下 佳穂, 尾島 俊之
    2024 年 45 巻 p. 33-40
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    [早期公開] 公開日: 2024/02/27
    ジャーナル フリー

    背景・目的 本研究の目的は高校教員におけるパラリンピックの視聴状況と視聴経験者の特徴を明らかにすることである。

    方法 本邦すべての高校のすべての教員を対象にした横断研究である。全国5007校の高校に調査依頼文を郵送し、それを教員に配布してもらい、教員からオンラインで回答を得た。調査項目は、パラリンピックの視聴経験の有無、ある場合は競技種目別の視聴経験の状況とした。回答者の特性は、教員免許、現在担当の部、運動部の顧問歴、運動などとした。解析は記述統計と視聴経験ありに対する特性のオッズ比を算出した。

    結果 回答者は7,892人、男性は75.5%、平均年齢は40.6歳だった。パラリンピックの視聴経験のある者は69.0%、競技種目別には、身体障がい者の競技は93.4%、視覚障がい者の競技は76.2%、聴覚障がい者の競技は54.5%、知的障がい者の競技は50.0%だった。視聴経験ありに対する特性のオッズ比は、教員免許が保健体育(基準:保健体育以外)で1.34(95%信頼区間:1.31-1.38)、現在担当の部が運動部(文化部)で1.14(1.10-1.19)、運動部の顧問歴があると1.26(1.17-1.36)、運動をしていると1.12(1.09-1.16)だった。

    考察 パラリンピックの視聴経験がある高校教員は69.0%であった。視聴経験のある者は、運動に関連する要因を持っている者が多かった。

  • 菊池 綾, 野田 龍也, 今村 知明
    2024 年 45 巻 p. 41-48
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    [早期公開] 公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    抄録背景・目的 患者の特性という点で一般科病院と異なる精神科病院においても、COVID-19のクラスター事案の発生が観測されている。本研究では、精神科病院のCOVID-19感染制御のための対策の手がかりを示すことを目的とした。

    方法 奈良県内の精神科病院の同一病棟内(急性期症状に対応する閉鎖精神病棟)で2020年12月と2023年9月にCOVID-19感染者が発生した事例を検討した。COVID-19感染者発生時、当該病棟入院患者および勤務職員を対象とした一斉PCR検査を実施し、病棟内の感染状況を確認した。

    結果 2020年発生時は当該病棟勤務職員1名の陽性判明後、5回の一斉PCR検査を実施したところ、当該病棟入院患者5名のCOVID-19陽性者を確認した。入院患者の感染者累計数が4名となってから、行政の指導に基づきゾーニングを行った。2023年発生時は、当該病棟入院患者3名の陽性判明後、3回の一斉PCR検査を実施したところ、入院患者33名および職員1名のCOVID-19陽性者を確認した。初発の陽性者を確認してからすぐに濃厚接触者に該当する可能性のある患者を調査し、ゾーニングも行った。

    考察 2020年発生時の初動の対応は手探りであり、濃厚接触者に該当する可能性がある患者への対応が後手に回ってしまったことは否めなかった。2023年発生時は、病院の構造に合わせた感染制御対策が2020年発生時の反省により確立されており、感染制御の対策を早々に講じることができた。

  • 上岡 洋晴, 朴 相俊, 和田 安代, 島田 美樹子
    2024 年 45 巻 p. 49-59
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    [早期公開] 公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー

    背景・目的 健康食品の摂取に伴う高齢者の健康被害や消費トラブルが増加している。そこで、本研究は、高齢者の科学的思考を歪ませるような広報戦略における行動心理学的効果の特徴を明らかにすることを目的とした。

    方法 インターネットの検索エンジン「YAHOO!Japan(https://www.yahoo.co.jp/)を用いて2023年11月23日~12月10日の期間にキーワード検索を実施した。キーワードは「アンチエイジング」、「サプリ」、「ランキング」とし、ヒットしたインターネット広告の上位5件のサイトを採用した。対象となったサイトのランキングに入っている企業の商品の高齢者に関するキャッチ・フレーズ(CF)を抽出した。計量テキスト分析を用いて文章を短い言葉(語)に分解した。テキストデータからの語への分解については形態素解析を行い、意味のある最小単位に分解し品詞を判別した。次いで共起ネットワーク分析を行い、同時出現(共起)関係から語のまとまりをサブグラフ検出(媒介)によりグループ化・グラフ化した。さらに消費者の購入意欲を高めさせる行動心理学的効果を期待していると考えられるCFを特定した。

    結果 高齢者を対象としたアンチエイジングのサプリにおいては、「健康で、より若々しく、美しくなれる」というメッセージを基盤として、購入を促進させる権威者への服従心理、スノップ効果、バンドワゴン効果、シャルパンティエ効果などの行動心理学的広報戦略としてのCFが取り入れられていることが明らかになった。

    考察 消費者が賢く購入の意思決定するために、商品の機能性と安全性に関する教育啓発に加えて、CFによって科学的思考を歪ませないための情報提供もアカデミア研究者や消費者庁などは併せて行っていく必要であると考える。また、いわゆる健康食品に関するリスクコミュニケーションの普及が強く望まれる。

助成研究
  • 石川 正昭
    2024 年 45 巻 p. 63-68
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    ジャーナル フリー

    背景・目的 前回、申請者は温水を使用した足湯により瞳孔対光反射のパラメータが変動することを報告した。パラメータの変動パターンからは、副交感神経活動の亢進を示唆する所見であったが、交感神経活動の関与は不明であった。また足湯から生じる心理面・眠気の変化が瞳孔に反映された可能性もある。本研究では、温水による足湯がもたらす心理面・眠気・自律神経活動への効果を瞳孔対光反射と唾液アミラーゼ(sAA)を用いて検証する。

    方法 45名の健常成人(平均年齢±標準偏差: 30歳±8)を対象に、気分の問診票(POMS)、カロリンスカ眠気尺度(KSS)、瞳孔対光反射とsAAの測定を行った。その後10分間の温水による足湯を行い、足湯を継続した状態で二つの自律神経機能検査を再度行った。足湯から生じる心理面・眠気・自律神経活動変化とその関連性を探索的因子解析と共分散構造分析を使用して、検証した。

    結果 探索的因子分析では、POMSの3つのサブドメインから構成される気分、最大/最小瞳孔径から構成される瞳孔径、最大縮瞳速度/平均縮瞳速度/縮瞳率から構成される瞳孔対光反射の潜在変数に分類できた。共分散構造分析を行ったところ、足湯による瞳孔サイズ・瞳孔対光反射への影響が強く、それ以外の影響は強くなかった。

    考察 瞳孔/sAAの変化様式から以下の所見を得た:①足湯による自律神経活動変化は、副交感神経活動亢進による; ②足湯による経皮的な効果が最も強く瞳孔に影響を与えた。

  • 松田 貴雄
    2024 年 45 巻 p. 69-74
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    ジャーナル フリー

    背景・目的 高温入浴はヘルスケアにおけるエビデンスに乏しく、有用とされてこなかった。夏季は骨格筋量が多いと寝つきが悪いとの先行研究から、日常的にトレーニングを行っている者を対象とした。高温による深部体温の上昇による、睡眠への影響、特に入眠に絞って、入眠直後の深睡眠への効果を観察する。

    方法 対象者は30~40代の日常的にトレーニングを行っている12名(男性10名、女性2名)。3~5分の浸漬を合計10分以上、常温入浴は40℃、高温入浴は42℃以上とした。測定はウェアラブルデバイスによる心拍連続測定を行い、入浴時到達心拍数及び交感神経・副交感神経バランスにて判定した。

    結果 睡眠効率は高温入浴で改善しなかった。高温入浴にて深睡眠時間は若干の増加は見られたが、有意ではなかった。深睡眠潜時は平均、中央値とも短縮がみられたが、有意ではなかった。

    考察 夏季の高温温泉入浴の効果として深睡眠潜時が短縮する傾向がみられた。夏季ではきつめの入浴条件であったが、入浴時の心拍数の観察から対象者にとって負荷になっていない状態であると推定された。日常生活時の寝つきが良い者が多かったため、今後は事前に対象を選定する必要性が感じられた。また入浴条件の設定に関して個人の到達心拍数などに基づいた設定が必要と考えられた。

  • 田井 義彬, 佐伯 圭吾
    2024 年 45 巻 p. 75-80
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    ジャーナル フリー

    背景・目的 わが国の入浴関連死数は、高齢者人口増加に伴って、2035年には年間2.7万人を超えると推計されている。浴槽入浴中の血行動態把握は、入浴関連死の予防策を立案する上で重要であるが、高齢者、実生活環境下での浴槽入浴中の脈拍変化やその関連要因は十分に検討されていない。

    方法 地域住民33名(平均年齢68.5歳 [標準偏差7.7])において、浴室温度、浴槽入浴中の湯温、脈拍を連続17日間、1分間隔で測定し、湯温から浸漬時間を推定した。湯温もしくは浸漬時間と浴槽入浴中最大脈拍数の関連を線形混合モデルで評価した。調整変数には、年齢、性、Body mass index、飲酒習慣、収入、高血圧、居室温度、浴室温度を用いた。

    結果 33名の参加者で計423回の浴槽入浴が確認され、そのうち湯温が41℃を超える浴槽入浴は、14名で計109回確認された。浴室温度がその中央値16.5℃を下回るとき、浴槽入浴中の脈拍は高い傾向にあった。調整モデルで、湯温1℃の上昇、浸漬時間1分の延長は、それぞれ浴槽入浴中最大脈拍数4.6 bpm (95%信頼区間, 2.7-6.5)の上昇、4.7 bpm (95%信頼区間, 1.2-8.2)の上昇と有意に関連していた。

    考察 実生活環境下で入浴環境を実測し、湯温と入浴中最大脈拍数の間および浸漬時間と入浴中最大脈拍数の間には正の関連があることを示した。

  • 岩田 浩明, 山内 恒生, 田中 加蓉子
    2024 年 45 巻 p. 81-86
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    ジャーナル フリー

    背景・目的 北海道にある豊富温泉は、古くから火傷や皮膚病に効果があり、近年ではアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬の湯治療養施設として全国から多くの患者を受け入れている。この効能について、コールタール成分に含まれる芳香族炭化水素化合物による皮膚のバリア機能の回復の観点から科学的検証を行った。

    方法 豊富温泉より、入浴施設に送る前段階に除去処理している原油を採取し実験に使用した。まずは、不死化角化細胞であるHaCaT細胞に採取した成分を刺激し、角層のバリア機能の構成に関わるタンパクであるフィラグリン、そして前駆体であるプロフィラグリンの発現を評価した。そして、芳香族炭化水素受容体作動薬との比較を行った。また、この原油の成分分析を行った。

    結果 成分刺激によるプロフィラグリンタンパクの大きな増加を確認した。既存薬タピナロフとの比較についても、豊富温泉の成分刺激は大きくフラグリン発現を亢進させた。また、成分分析に関して、成分中に多種の炭化水素及び芳香族炭化水素を確認した。

    考察 豊富温泉の原油成分がフィラグリン発現を亢進させることを確認した。フィラグリンの発現増加はバリア機能向上につながるため、患者の実感に結びつく結果になった。今後、フィラグリン発現の詳細な機序の解明、さらに豊富温泉の原油の有効成分の解析を行う予定である。有効成分を特定していくことで、一般的治療法の拡充も期待できる。

  • 小谷 鷹哉
    2024 年 45 巻 p. 87-92
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    ジャーナル フリー

    背景・目的 骨格筋リボソーム量の増加は、筋力トレーニングによる筋肥大に重要であることが近年明らかになってきた。運動後の回復戦略として広く用いられている温水への入浴は、リボソーム合成の重要な制御因子であるmTORシグナル伝達を活性化する。しかし、入浴が骨格筋のリボソーム量におよぼす影響については、現在のところ不明である。本研究では、入浴および筋力トレーニング後の入浴がリボソーム量におよぼす影響を明らかにすることを目的とした。

    方法 雄性のSprague-Dawleyラットを入浴群と入浴なし群に分類した。両群とも、右脚を経皮的電気刺激で筋力トレーニングさせ、左脚は対照脚とした。入浴群はイソフルラン麻酔下で両脚を温水(41.2±0.03℃)に20分間浸した。運動から24時間に腓腹筋を採取した。

    結果 入浴はrpS6のリン酸化とc-myc mRNA発現を増加させ、筋力トレーニング後の入浴はTIF-IA mRNA発現を増加させた。しかし、入浴および筋力トレーニング+入浴は45S pre-rRNA発現量およびリボソーム量の指標である28S rRNAと18S rRNAを増加させなかった。さらに、入浴は28S rRNAと18S rRNA量を減少させる傾向が見られた。

    考察 筋力トレーニング後の入浴は、筋肥大を促進するとされているが、骨格筋リボソーム量を減少させる可能性が新たに明らかとなった。

  • 畠山 米一, 柴田 裕, 武居 ケイ, 杉山 純子
    2024 年 45 巻 p. 93-98
    発行日: 2024/06/12
    公開日: 2024/06/12
    ジャーナル フリー

    背景・目的 温泉地でのストレス軽減を求める利用者の増加が見込まれる中、入浴前後に唾液アミラーゼ活性と自律神経機能を計測し、比較検討することで芳香浴を追加した岩盤浴がストレス軽減効果に関連するかを検討した。

    方法 本研究では、唾液アミラーゼ活性と自律神経機能の計測(HF成分とLF/HF比) を岩盤浴のみ群と岩盤浴+芳香浴群の入浴前後で測定し、各測定値の変化を比較検討した。さらにそれぞれの変化量(測定前値-測定後値)も比較検定することで、岩盤浴に対して芳香浴を追加した場合のストレス軽減効果について評価した。

    結果 対象56名(男性21名、女性35名)の年齢は中央値65.0(51.5~75.0)歳であった。唾液アミラーゼ活性はいずれの入浴前後に有意な変化は認めなかった。自律神経機能(LF/HF)は岩盤浴+芳香浴群では入浴後に有意に減少し(p=0.002)、LF/HF変化量は岩盤浴のみ群に比較して岩盤浴+芳香浴群が入浴後に有意に増加したが(p=0.02)、臨床的に有意な所見とは判定できなかった。調査後のアンケート集計で、37名(74%)から芳香浴追加に好意的な回答が得られた。

    考察 今回の調査研究では、芳香浴を追加した岩盤浴のストレス軽減効果を示唆する結果が得られなかった。

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