日本健康開発雑誌
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精神科病院におけるCOVID-19クラスターの特性と対応
菊池 綾野田 龍也今村 知明
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論文ID: 202445G06

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抄録

抄録背景・目的 患者の特性という点で一般科病院と異なる精神科病院においても、COVID-19のクラスター事案の発生が観測されている。本研究では、精神科病院のCOVID-19感染制御のための対策の手がかりを示すことを目的とした。

方法 奈良県内の精神科病院の同一病棟内(急性期症状に対応する閉鎖精神病棟)で2020年12月と2023年9月にCOVID-19感染者が発生した事例を検討した。COVID-19感染者発生時、当該病棟入院患者および勤務職員を対象とした一斉PCR検査を実施し、病棟内の感染状況を確認した。

結果 2020年発生時は当該病棟勤務職員1名の陽性判明後、5回の一斉PCR検査を実施したところ、当該病棟入院患者5名のCOVID-19陽性者を確認した。入院患者の感染者累計数が4名となってから、行政の指導に基づきゾーニングを行った。2023年発生時は、当該病棟入院患者3名の陽性判明後、3回の一斉PCR検査を実施したところ、入院患者33名および職員1名のCOVID-19陽性者を確認した。初発の陽性者を確認してからすぐに濃厚接触者に該当する可能性のある患者を調査し、ゾーニングも行った。

考察 2020年発生時の初動の対応は手探りであり、濃厚接触者に該当する可能性がある患者への対応が後手に回ってしまったことは否めなかった。2023年発生時は、病院の構造に合わせた感染制御対策が2020年発生時の反省により確立されており、感染制御の対策を早々に講じることができた。

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