東京保健科学学会誌
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手指表在菌の日常的手洗い方法および手の乾燥時間による除去効果の比較検討
城生 弘美志自岐 康子金 壽子武 未希子長塚 靖子川村 佐和子
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1999 年 1 巻 2 号 p. 167-170

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抄録

本研究は日常的手洗いに関する継続研究である。平成9年に日常的手洗いのうち5つの方法で手洗い前後の細菌数の変化を観察したが, 擦式アルコール消毒剤を用いた場合にのみ, 手洗い後の細菌数が減少していた。その他の方法で手洗い後に細菌数が増えた原因は, 手が十分乾燥していない状態で培地にスタンプをしたためと考えられた。そこで今回は, 擦式アルコール剤を除く他の4つの手洗い方法(流水5秒, 流水30秒, 固形石鹸, ポンプ式石鹸)で, 寒天培地接触法を用いて, 手洗い後の手の乾燥時間と細菌の除去効果との関連をみた。その結果, 細菌数は「手拭き直後」では流水5秒においてのみ手洗い前に比べ減少しており, 流水30秒・固形石鹸.ポンプ式石鹸においては, 増加する傾向にあった。しかし, 「手拭き後30秒」および「手拭き後60秒」では, 4つの方法いずれにおいても細菌数は減少しており, 除菌率にも有意な差が認められた。このことから, 手洗い後対象物に付着する細菌数は「手拭き直後」よりも「手拭き後30秒」以上経過し, 手を乾燥させた状態のほうが少ないことが明らかになった。

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1999 日本保健科学学会
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