抄録
三次元動作解析装置を用いて, 安静時およびFlutter使用時の胸郭運動の解析を行った。健常成人16名(男性8名, 女性8名)を対象とした。胸郭の前面, 後面に直径10mmの赤外線反射マーカーを合計32個胸郭に取り付けた。32個のマーカーにより胸郭を3レベル(上部胸郭, 下部胸郭および腹部)9分割とし各分割の体積を計算上求めることにより胸郭の運動を測定した。結果, (1)男女ともにFlutter時, 安静時に比べ, 1回換気量が増加した。(2)男性ではFlutter時, 運動の増加は, 上部胸郭, 下部胸郭および腹部ともに均等に起こっている。(3)女性ではFlutter時, 運動の増加は, 下部胸郭や腹部の増加に比べ, 上部胸郭の増加が著明であった。(4)Flutter時の男女の差異は, 胸郭の部位別の拡張性の男女の違いに起因していることが推測された。