抄録
骨はその硬さを利用して体内での大切な臓器の保護作用, 体を持ち上げて移動する際の支持作用を担っている。しかし, それ以上に重要な骨の役割としてはカルシウムの貯蔵作用がある。人間1人に含まれる約60兆個の細胞は, 細胞内に流入する少量のカルシウムにより細胞内小器官が働くことにより, 機能を発揮している。細胞の働きにより人間は生きていることからカルシウムは生命の炎ともいわれ, 体液中のカルシウムは10^<-3>Mとほぼ一定の濃さを維持してることが大切となる。これを保償しているのが10Mのカルシウムを含んでいる骨である。加齢と共に骨のカルシウムが体液へ流出する傾向にあるが, これが限界値以上に達して日常遭遇する外力でも骨折をするほど骨密度が低下するのが骨粗鬆症である。骨折を予防して骨の健康を維持するためには骨のカルシウム量を増やす努力と共に転倒しない, 転倒しても骨に大きな力が加わらない工夫の両者が必要である。