抄録
援助困難事例とは,高齢者などの対象者に対する自立・介護支援を実施することが困難である事例を指す。今回,筆者は,訪問作業療法において,「介護者(家族)のサービス提供者側に対する過剰要求が在宅支援の障害になっている」とみなされていたが,実際には,介護者とサービス提供者との間の心理的ギャップが背景にあった事例に関わる機会を得た。本論文では,訪問作業療法を通して生じた介護者の心的変化を検討し,心理支持的に接することから導入し,最終的には側面からサポートを行い,対象者が主体的に選択,決定していけるような支援を行っていくことが重要であることなど支援のあり方について検討した。