抄録
Willis輪の解剖学的破格を知ることを目的として,若年成人61例(男性18例,女性43例,年齢19〜25歳,平均年齢22.3歳)を対象に1.5T MRI装置を用いてthree dimensional time-of-flight magnetic resonance angiography(3D-TOF-MRA)を施行し,Willis輪のパターン分類を行い,併せて欧米人との比較を行った。Willis輪全体が完全型,前方部分または後方部分のいずれかが不完全型,前方部分および後方部分がいずれも不完全型の割合はそれぞれ53%,37%,10%であった。全体が完全型の割合を男女別にみると,男性は24%であるのに対し女性は64%であった(P<0.05)。ほぼ同年齢層で3D-TOF-MRAによる検討を行った欧米人のWillis輪パターンと比較すると,完全型の亜型分類の4亜型において頻度に統計学的有意差が認められた。3D-TOF-MRAは血流を指標としたWillis輪の機能解剖学的構造を知るのに非侵襲的で優れた方法である。