東京保健科学学会誌
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超音波による肝静脈および門脈分岐パターンの検討
中村 朝子松本 満臣
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キーワード: 肝静脈, 門脈, 正常解剖, 超音波
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2003 年 6 巻 2 号 p. 146-152

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抄録
肝静脈および門脈分岐の解剖学的破格を検討する目的で健常若年成人42例(男性27例,女性17例,年齢19〜25歳,平均年齢21.6歳)を対象として超音波検査を施行した。肝静脈では,右・中・左肝静脈がそれぞれ独立して下大静脈に注ぐものはわずかに23.8%(10/42)に過ぎず,中肝静脈と左肝静脈が共通幹を形成して下大静脈に注ぐものが57.1%(24/42)を占めた。右肝静脈と中肝静脈が共通幹を形成して下大静脈に注ぐものが11.9%(5/42)みられた。右肝静脈は,中および左肝静脈が下大静脈に注ぐレベルよりもやや下方で下大静脈に注いでいた。下右肝静脈は14.3%(6/42)にみられた。門脈では,右枝と左枝に分岐し右枝から前および後区域枝が分岐する通常型が78.6%(33/42)を占めた。門脈本幹から右葉前・後区域枝と左枝が同時に分岐するものが2.4%(1/42),右葉後区域枝が門脈本幹から独立して分岐するものが19.0%(8/42)であった。肝静脈および門脈の分岐形態はさまざまで,肝腫瘤性病変の局在診断はもとより,肝部分切除術,生体肝移植術に際しては,非侵襲的な超音波検査による詳細な評価が重要である。
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2003 日本保健科学学会
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