東京保健科学学会誌
Online ISSN : 2433-149X
Print ISSN : 1344-3844
ISSN-L : 1344-3844
障害児の問題行動と母親のストレス認知の関係
種子田 綾桐野 匡史矢嶋 裕樹中嶋 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 7 巻 2 号 p. 79-87

詳細
抄録

本研究は,障害幼児の問題行動と母親のストレス認知(育児負担感)の関連性について明らかにすることを目的とした。調査の参加者は,S県内の障害見通園施設12施設に通園する児の母親319人と養護学校11校に在籍する児の母親1,030人であった。調査内容は児の属性(性,年齢,学年,障害,医学的分類名,問題行動),母親の属性(年齢,児の数,家族構成,就労),育児負担感とした。児の問題行動と母親の育児負視感の関係は,潜在変数を用いた重回帰モデル(多重指標モデル)を仮定し,構造方程式モデリングを用いて,その因果モデルの適合性と変数間の関係の程度を検討した。問題行動の母親の育児負視感に及ぼす影響の程度は,寄与率で31.0 %であった。特に,結果は問題行動の3つの因子のうちの「感情統制困難」の因子が,育児負担感の4つの因子のうちの「児に対する拒否感情」と「育児に対する否定感情」のふたつの因子により関係していることが示唆された。以上の結果を基礎に,問題行動にどのように専門家が対処すべきかについて討論した。

著者関連情報
2004 日本保健科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top