【目的】上肢を用いた日常生活活動時の酸素摂取量を高齢者と若年者とで比較検討した。【方法】対象は健常高齢女性7名(平均年齢71.8歳)と健常若年女性7名(平均年齢20.3歳)。(1)棚に物を載せる,(2)洗濯物干し,(3)食事,(4)洗面,(5)整髪,(6)更衣,(7)洗濯物ただみ,の7課題を各2分間実施した。【結果と考察】1METを3.5[ml・kg^<-1>・min^<-1>]で計算した運動時METsには両対象間に有意差はなかった。ただし,実測の安静座位時酸素摂取量(高齢者は3.32,若年者は4.16)を1METとした場合,高齢者は課題(1)1.7,(2)1.6,(3)1.5,(4)1.9,(5)1.8,(6)2.4,(7)2.1METs, 若年者は課題(1)1.4,(2)1.3,(3)1.3,(4)1.5,(5)1.3,(6)1.8,(7)1.7METsとなり,全課題において高齢者で有意(p<0.05)に高い値を示したことから,安静座位時酸素摂取量には実測値を用いるのが望ましい。また,高齢者と若年者ともに「安静」と「棚・整髪」と「更衣」はそれぞれが独立した運動負荷の課題であった。
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