日本ハンドセラピィ学会誌
Online ISSN : 2189-8855
Print ISSN : 1880-7380
原著論文
橈骨遠位端骨折術後患者の炎症症状と痛みの経時的変化
大野 博子大森 みかよ畑中 康志寺内 昂大森 圭貢仁木 久照
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2025 年 17 巻 3 号 p. 153-160

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抄録

橈骨遠位端骨折術後の炎症症状の経過を明らかにする目的で,橈骨遠位端骨折術後患者27名を対象に,臨床的な評価ツールを用いて,痛み,熱感,腫張を術後12週まで経時的に計測した.評価は,痛みの評価としてVAS,SF-MPQ2,PCS,HADSを,熱感は表面体温計による手関節の皮膚温を,腫脹は8の字法を用いた.その結果,VAS,SF-MPQ-2(持続的・間欠的・神経障害性),PCS(反すう・無力感),術側の手関節背側・掌側の皮膚温,術側の周径は経時的に漸減し,術後2週と4週では差がなかったが,8~12週以降では有意に低下した.本研究で利用した炎症評価のための臨床的な評価ツールでは,橈骨遠位端骨折術後の炎症症状は術後2〜4週(炎症期)持続し,修復期初期においても,痛みのほか皮膚温の上昇や腫張を認め,術後8~12週にかけて徐々に鎮静していくと考えられた.

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© 2025 一般社団法人日本ハンドセラピィ学会
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