魚類学雑誌
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ヒラメ類の稚仔魚の研究―IV. ニホンダルマガレイ
尼岡 邦夫
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1973 年 20 巻 3 号 p. 145-156

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抄録

1954年から1967年の間に, 南日本および日本の南西海域から稚魚網と底曳網で採集、された15個体のニホンダルマガレイArnoglossus japonicus Hubbsの後期仔魚 (体長20.0~46.9mm) および稚魚 (43.5~59.5mm) を調べ成育にともなう形態変化を記述した。本種は体長約46mmのとき眼が移動しだすが, この体長はダルマガレイ科の中ではむしろ大きい方である。本種の変態期の仔魚は, 吻の上部に短い背鰭第1棘とその直後にある著しく伸長したむち状の第2棘を持ち, さらにその後縁に7本に分枝した膜状物をそなえることで特徴づけられている.第1棘は変態中期に完全に消失するのに対し, 第2棘は変態中期直前に最大となり, その後急激に短縮することから, 後者は浮遊器官として重要な投割をはたしていると考えられる。鼻孔と嗅器官の発育程度は変態初期の後期仔魚の発育段階を調べるのに有効な形質である.また, これらの器官は浮遊生活中の後期仔魚期では十分に発達していないが, 底生生活に移る稚魚期に入って完成する.この時期には口・歯などの摂餌器官も急激に成長する.

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© 日本魚類学会
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