抄録
海産魚の多くで骨格の異常形成が知られているが, クインスランドのMoreton湾にすむコチ類, Platycephalus indicusとP.fuscusでも, 総数の3%あまりに異常な成骨現象が認められた.これらの種類の標準体長30cm台のものでは, 前頭部を形成する額骨・前額骨・中篩骨・鼻骨および涙骨 (眼前骨) が膨大しており・その状態は, P.indicusよりP.fuscusの方が著しかった.このような異常現象のために眼窩は少し狭くなり, 前上顎骨が短縮していた.なお, 体長10cmのP.fuscusにも同様な現象が見られた.この骨格の異常現象は年令の増加や成長と関連しており, 行動や生活は正常であるがその起因は現在のところ不明である.