抄録
日本産ハゼ亜目魚類12種 (9属, 5亜科, 2科) の染色体を調査し, 体細胞染色体数およびNF数を数えた.染色体数はドンコ, ヨシノボリ, ゴクラクハゼ, マハゼ, ドロメ, ビリンゴ, ウキゴリ, チチブおよびシマノ・ゼでは2n=44で, ムツゴロウ, トビハゼでは2n=46, スジハゼでは2n=50である.NF数は44~98の範囲にある.これらの種類と以前報告されたものを合せた33種と2亜種の染色体数を, 従来の分類体系と比較した結果, 両者の関係は属間ではよく一致しているが, 科および亜科段階では必ずしも一致していなかった.しかし, 一般的な傾向として, カワアナゴ科では44~46, ハゼ科の中ではチチブ亜科で44, トビハゼ亜科で46, タビラクチ亜科で46~48, ハゼ亜科で48~50であり, 比較的安定している.だが, ヨシノボリ亜科では40~46の広範囲にわたっている. このことはこの亜科が多くの種と属を含むため, その豊富な種的分化と関係していると考えられる.他方, ここで調査した12種において, 染色体数とNF数から, 核型はドンコ属とヨシノボリ属が最も単純で, マハゼ属, アゴハゼ属, チチブ属, ウキゴリ属, ムッゴロウ属, トビハゼ属, クツワハゼ属の順に複雑化している.