抄録
カンムリダチ (新称) はKlunzinger (1884) が紅海からの3尾の標本に基いて記載して以来どこからも報告されていない.実際にはこの魚は表記の海域では底曳網で普通に採集される.オシロイダチと似て尾鰭を欠き, 腹鰭は1対の鱗状片よりなり, 臀鰭は鱗状の1棘のみが明らかで他の鰭条は痕跡的に皮下に埋没している.カンムリダチを近似種から分っ特徴は以下のとおりである.頭部背郭の隆起縁は吻端から背鰭起部まで連続して丸く外方にふくらむ, 背鰭棘5, 幽門垂11~13, 躯幹部の脊椎骨45~48, 胸鰭は短かく側線に達しない, 腹鰭は第9~12背鰭条下にある, 轡鰭起部は第47~50背鰭条下にある, 第二眼下骨が存在する.全長30cmで生物学的最小形に達する.主として魚食性であるが, 小型甲殻類・イカなども食する.タチウオやオシロイダチと比べ沖合性・高鹹性のようで, 陸水の影響の強い水域では得られない.