抄録
海で採捕した雌雄一対のイトヨを実験室で飼育産卵させた.ふ化した仔魚を用い甲状腺組織像の変化を観察した.ふ化後約一カ月で甲状腺組織像は高い分泌活動を示す.魚体は皮ふにグアニンを沈着し銀白色となり, 海水に適応するようになる.さらに淡水中で飼育を続けると炉胞は拡大し, 炉胞にはさまれた結合織は毛細血管をともなった薄い層となる.炉胞腔は顆粒状コロイドでみたされる.コロイド中には炉胞上皮細胞の全分泌を示すと思われる核およびコロイド様小滴がみられる.イトヨを海水へ移すと淡水中の飼育によって異常に拡大した甲状腺炉胞は正常な組織像を示すようになる.