魚類学雑誌
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ニジマス幽門垂における穎粒層の微細構造
木村 紀彦工藤 重治
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1975 年 22 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

ニジマス幽門垂の顆粒層が主として電子顕微鏡で観察された. 顆粒層は内顆粒層と外顆粒層とに識別できるが, 両層を構成する顆粒細胞は本質的には差がなく, 顆粒の形成は外顆粒層の細胞で早く始まる.顆粒細胞は長楕円形または紡錘形で, 細胞表面はほとんど平滑でしばしば細胞質突起がみられるが, 通常線維芽細胞と密接して存在し, しばしば顆粒細胞の表面の大部分が線維芽細胞によって包囲されている. また, 顆粒細胞と顆粒細胞および線維芽細胞の間にはデスモソームがみられる.
顆粒を含まないかまたは幼若な顆粒を少数含む顆粒細胞では核は楕円形で細胞の中央部に位置し, 比較的よく発達したゴルジ装置や粗面小胞体, 少数の糸粒体, 中心体および多くの遊離リボソームを含む. 電子密度において漸次的移行を示す幼若な顆粒 (直径約340~450mμ) を比較的多数含む顆粒細胞では細胞小器官の発達程度は上述とほぼ同様で, しばしばライソソームも含む、電子密度の高い成熟した顆粒 (直径約600~1160mμ) を多数含む顆粒細胞では核は偏在し, その表面に深い陥凹がみられ, 一般に細胞小器官の発達はよくないが, ゴルジ装置による顆粒の形成がしばしばみられる.
ニジマス幽門垂の筋層は内縦層, 中輪層および外縦層の3層よりなる.

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